πって映画の話
πっていう映画があるんですよ。1998年公開の。ちなみに、監督はかのダーレン・アロノフスキー。
これがまた結構な映画でして、前述したように1998年公開にもかかわらず全編白黒。
さらに監督のデビュー作であり低予算映画。製作費は6万ドルっていうから驚き。
ちなみに内容は、この世は数学ですべて成り立っていると信じてやまない、偏頭痛持ちの天才数学者が216桁の数字をめぐって、キーボードを叩いたり精神を病んだり脳味噌をつついたりドリルで**する映画です。
……やべえ映画だな?
さて、この映画、昔VHSで父親の書斎の本棚ににあったんですよ。
小難しい経済やら数学やらの本の中に刺さってたのが印象的でして。しかもVHS版のパッケージってめちゃくちゃおどろおどろしいんですよね。
こんなん当時の私(多分8歳くらい)が興味を持たないはずがなく、手に取ってはえ~って眺めてたんですよ。そしたら父親が
「あ~それ面白いよ?一緒見る?」
って言ってきたんですね。
そして、その時の私は好奇心に負けて「うん」と言ってしまったんですよ。
まあ結果はご想像の通りです。父親は「おもしろかったろ?」みたいな顔してたけど、その息子は終始困惑しっぱなしでしたよ?(一緒に見てた母親も「えぇ…」みたいな顔してた)
思えばその辺から、私の性癖というか好みが歪んでいった気もします。大丈夫なのかこれ?
まあそういう古い思い出がありまして。ついこの前、TSUTAYAでこれのDVDがあったんですよ。前述したとおりこの映画、私の心に深く突き刺さってまして、ついつい借りて観ちゃいました。
なんだかんだ面白かった(小並感)
感想としては終始雰囲気で殴ってくる映画って感じでしたね。
テクノ調のBGMに、こっちまで脳が痛むような音楽。白黒のモノトーンカラーに、アップとカットを多用するカメラ。
あとこれは個人的な好みなんですけど、ケースから薬をザラッってだしてガッって服用するカット。あれめっちゃ好き。youtubeであれだけ集めたシーン見つけて見るくらい好き。
内容としては、πや数学要素はフレーバー程度(どっちかといえば216桁の数字自体がメイン)なんですけど、それでもヘブライ語のヘブライ文字と数字の対応とかの話はふつうに興味深かったし、ユダヤ教の神秘主義者たち。あの人たちも数カットしか出てないのに、キャラが立っててすごいなって。
あとラストも好きです。ネタバレになっちゃうから詳しくは言わないけど、ああいう終わり方めっちゃ好きです。
……こいつ好きしか言ってねえ!
ちなみにそのあと、なんで数字が216桁なんだろうと考えた(256桁のほうがキリが良くない?)んですが、6×6×6(獣の数字)=216っていうのを人から聞いてあぁ~って。
だからヘブライ文字のくだりがあったし、神秘主義者たちがあの数字を追ってたんすね~。
とまあ私の心にどえらい歪みを残していった問題作ですが、なんだかんだ私は好きです。たとえ雰囲気全振り映画と言われても私は好きです。
それと同時に(これは前々から思ってたけど)自分の好みが父親の好みに寄って行ってて、血は争えないんやなって。
今度帰ったときに本棚を漁ってみましょうか。また私に刺さるものが見つかるかも。